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「市民派」市議だった時の意外な言動 「ハコモノ脱却」訴え市長当選

伊東市の風向きが変わったのは、市長選を控えた2025年1月のことだった。市議会の有志が開いた「選択的夫婦別姓」をめぐる勉強会。そこには、後に市長となる杉本憲也の姿があった。法律の知見を持つ杉本は、戸籍制度の課題を整理したうえでの早期導入を掲げていたのだが、当日の会場はどこか空気が重かった。冬の午後の、あの少し湿った空気感は今もなんとなく覚えている。

その場には、当時市議だった田久保真紀も座っていた。大規模太陽光発電所の建設反対運動から市議へ転身し、二期目を務める彼女は、市民派として期待を集める存在だった。しかし、別姓制度について意見を求められた彼女は、自身が事実婚であることを明かしつつ、きっぱりとこう言い放ったのだ。「困っていないので必要ない」。

その言葉を聞いた杉本の表情が、すっと強張ったのを記憶している。議論の場というものは本来、何らかの解決策を探るための場所であるはずだ。誰かが声を上げている問題を、個人の「困っていない」という基準だけで切り捨てていいのか。杉本が覚えた違和感は、単なる意見の相違というよりは、政治家としての姿勢への疑問だったのかもしれない。

田久保氏のこの発言は、当時の市議会でも波紋を呼んだ。市民活動から議員になった経歴と、実際の言動との間に見え隠れするギャップ。あの時の、なんというか……食い違ったまま終わってしまった対話の空気は、後の市政への伏線だったのだろうか。いや、実際はもっと複雑な何かがあったのかもしれないが。

その後、彼女は「ハコモノ行政からの脱却」を旗印に掲げ、市長選へと突き進んでいく。市民は彼女の若さと変革への期待に票を投じた。だが、その後の展開を誰が予想できただろう。学歴詐称の疑惑が浮上し、伊東市の混乱は半年にも及ぶことになる。いま振り返ると、あの勉強会で見せた彼女の断定的な姿勢は、一体何だったのか。答えは、まだ見つからないままだ。

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